原発情報 続き5

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さて、苫米地さんの続きの記事があったので張ります。

長いので読むのが面倒かもしれないので要約すると
言ってることは、チェルノブイリのようなちゃちな作りではないので大丈夫。
日本のウランの濃縮度は3%と低いので再臨界しても核爆発のように爆発することはありえない。
また、3号機はプルトニウムを利用しているということだが、
プルトニウムはそもそも沸点が高いので気化して放射性物質として空気中に拡散する可能性はことはないだろうという意見のようです。

参考にして下さい。


チェルノブイリと福島第一は根本的に違う。チェルノブイリとの比較は意味がない
20km避難圏外の放射性物質の健康被害は外出を控え、外出するなら、濡れたマスクをして、服で皮膚の露出を控え、手袋、帽子で充分であり、50kmも離れれば、その必要さえもないことを18日にブログに書いた。これに対して、チェルノブイリでは200km、300km離れたところでも放射性物質による汚染が確認されているという意見をもらった。

チェルノブイリと福島第一は根本動作原理から全く違う。これは専門家にはあたり前のため、わざわざ言及されないため、逆に一般の知識人も、政治家も、専門家ではないので広く不安があるようだ。もちろん、専門家の間でも、福島第一で、再臨界の事態があり得るか否かについては意見が分かれているが、これも含めて、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長の3月20日付けの以下のレポートが分かりやすく、再臨界の可能性は否定できないが、チェルノブイリのような事態にはなり得ないことが説明されている。専門知識がなくても理解可能なはず。

http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf

ところで、国民が不安を持っているのは、再臨界の可能性そのもの(最悪のシナリオ)を報道することが統制されたのか、万が一、再臨界があっても退避圏外は安全という、このような情報が政府からもメディアからも説明されていないのが、いらぬ不安を生み出しているのだと推測する。その意味でこのレポートは重要だ。

ここでは、繰り返しになるが、チェルノブイリと福島第一は根本的に違うことを、一般向けにごく基本的なことのみを書く。私の3月17日付けのブログから引用する。

引用開始、

「因みに、チェルノブイリは旧ソ連が原爆技術をもとに開発した黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK)。福島第一のアメリカ式Mark1型、2型(BWR)と全く異なる方式で、チェルノブイリの場合は、動作原理の欠陥で通常運転100万kW電気出力の10倍のエネルギーで即発臨界爆発したという話なので、比較してリスク話をあおるのは論外。福島第一には全く当てはまらないチェルノブイリRBMK型の”正のボイド係数” 欠陥は、 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/cher-1index.html などで理解して欲しい。また。日本の原発のウラン235の濃縮度は3%程度で、核爆弾のような爆発をするには、最低でも70%濃縮度が必要なので、例え再臨界になっても各爆弾のような爆発はしようがない。また、チェルノブイリの原子炉は格納容器がないタイプなので、臨界暴走しながら放射性物質を撒き散らした論外のケースなので、遥かに安全性の高いアメリカ式BWR型の原子炉を比較すること自体が根拠が薄い」

引用終わり。

要するに、チェルノブイリは旧ソ連の原爆科学者達が軍事用途で作りだした原子炉の方式で、アメリカ型の原発とは動作原理が全く違い、通常出力の10倍で暴走するような論外な技術だったということ。また、福島第一のBWR型は圧力容器の外側に格納容器があり、チェルノブイリはこれさえもなかったということが、根本的な違いである。このように、福島第一では原理的にチェルノブイリのようなことは起こり得ないし、ましてや核爆発のようなことは起こり得ない。

また、福島第一は、更に2メートル厚の生物遮蔽壁と1メートル厚の鉄筋コンクリート防護壁で囲まれており、万が一の再臨界の場合も、放射線は付近の住民に影響はない。ガンマ線はもちろん、最も透過力の強い中性子線でさえも付近の住民には影響がないと上記レポートにもある。因みに、漏れた水素が酸素と結合して爆発が起きたことで吹き飛んだのはは上部の鉄骨トラス構造の部分。以下の図が分かり易い。

http://nei.cachefly.net/static/images/BWR_illustration.jpg

炉の構造が吹き飛んだかの印象を与える報道は誤り。炉構造と周囲構造の頑健性は、データから明らか。

東京電力のシミュレーション計算のhttp://www.tepco.co.jp/nu/material/files/ka10061701.pdfの5ページと61ページの図や、米国原子力規制委員会(NRC)のマニュアル、http://www.nrc.gov/reading-rm/basic-ref/teachers/03.pdfの3-16で確認して欲しい。

防護壁(格納遮蔽壁)の東電の写真がなかったので、GE Mark1型の米国原子力エネルギー協会(NEI)の写真が以下。

http://www.nei.org/filefolder/containment_wall_construction.jpg

鉄筋コンクリートの分厚さが分かる。内側に1/2インチ(1.2cm)厚の鉄板を貼った、4フィート(1.2メートル)の厚みのある鉄筋コンクリートである。1号機から5号機は全て同様なアメリカ式GE Mark1型、6号機は更に改良されたMark2型。

上のリンクの東京電力のシミュレーションモデルは、宮城県沖地震M7.1のデータをベースにしていのるので、今回の地震は想定外であったのは事実。ただ、これで機能停止となったのは、冷却装置であり物理構造ではない。福島第一の1号機から5号機までのMark1型の冷却装置の脆弱性は、米ABCニュースでも流れた。これは1970年代から知られていたものだ。とはいえ、外部壁まで含めた防護構造の構造的強度は、東電の上記データを見れば明らかだ。

このABCニュースではMark1型の冷却システムの欠陥に抗議して1972年にGEを退職したという元GEエンジニアの話が出ている。一方、GEのレポートを読むと、GEはこの欠陥の修正を当時から継続して発表、各国の電力会社に通告し、少なくとも米国内では改善済みであり、日本でもその改良が実行されたはずであるとしている。

総括すると、1.動作原理が全く違う、2.格納容器がある、3.更に頑健な二重の遮蔽壁があるという理由で、万が一、再臨界しても、チェルノブイリのような事態にはなり得ないと断言できる。

以下は、補足。

念のため、再臨界ということを、説明しておくと、原子炉は臨界運転時でない時も常に正常運転の3パーセントぐらいの熱を出している。それが、冷却装置が稼働してないので炉内の温度がどんどん上がって、燃料棒を囲むジルコニウムの被覆管が溶け始めているのではないかというのが問題とされている。そして全ての燃料が溶け落ち着いて、一定量以上の燃料がひと固まりになった時に、もう一度臨界になる可能性が再臨界として問題にされている。ウラニウムはある程度の量と密度を超えて一緒にいるだけで勝手に核分裂を始める。炉心が完全に露出した状態が継続し、酸化ウラン燃料を被覆しているジルコニウム合金の融点2200度Cを超えて、燃料棒が下に落下する場合、もしくは、更に二酸化ウランの融点の2846度Cを超えるような事態が続いて燃料まで解けて落ちる場合、こういった最悪のケースを想定した場合の話である。但し、先にジルコニウム合金被覆管が溶けて燃料は落下するので、再臨界となる場合があるとすれば、二酸化ウランが溶けるよりは早いと考えられる。

福島第一では、ジルコニウムが溶けたことにより発生した水素が酸素と結びついて水素爆発した可能性があるので、炉心が完全に露出し続けた場合はあり得るシナリオとなる。全ての燃料が炉の底に溜まることによって、再臨界する可能性があるのではという話である。一般には、ウラン235と共に燃料に入っているウラン238の中性子吸収確率が高温になることで上がるドップラー効果があるので、 高温になれば再臨界は起きないか、起きてもすぐ収まると考えられているが、炉内圧力が上がっているなど、なんらかの要因でドップラー効果が弱い場合などに、再臨界があり得るのではというの話である。これが最悪のシナリオで、この場合でも、チェルノブイリとは違い、BWR型の炉は、即発臨界といわれるような事態にはなることは考えられないというのが上記レポートなどの結論だ。

更に、この記事を書いている3月21日18時半の時点での現実問題としては、福島第一の温度推移を見ると明かに低下傾向にあり、また、冷却装置への外部電源供給も回復する見込みであり、このような危機は脱したと考えるのが妥当だろう。もちろん、万が一の再臨界の場合でも放射線と放射性物質の概念は混同しないようにとは、すでに3月18日に書いた通りである。

また、Twitter (http://twitter.com/DrTomabechi)に3号機はプルトニウムの入ったプルサーマル(MOX燃料)なので大丈夫かという書き込みがあったが、上記原理は全く同じ。物理的に施設が破壊されてプルトニウムが漏れ出した場合の被害は毒性がより強い分より大きいが、これは原発施設敷地の汚染の話であり、プルトニウムの沸点は3228 ℃なので、気化して放射性物質としてチリに付着して浮遊する可能性はまず考えられない。これは、沸点3745 ℃のウラニウムも同様だ。

アメリカ式BWRについては、

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=02-01-01-01

BWRの放射線遮蔽については、

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-03-02-02

がそれぞれ日本語で詳しい。


本当にありがとうございますた。



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